IPOを見据えた取締役会の開催(開催頻度など)

最終更新: 3月22日





目次

 1. 上場審査との関係での取締役会の重要性 
 2. IPOを見据えた場合、少なくとも1か月に1回は取締役会を開きましょう。 
 3. 重要な経営判断は取締役会で決定しましょう。 
 4. 取締役会を開催したら、議事録を作成する必要があります。 
 5. まとめ 



1. 上場審査との関係での取締役会の重要性


上場審査や上場後においては、企業はコーポレートガバナンス体制・内部管理体制などの構築を強く求められ、コンプライアンス重視の近時の流れを受けて、その要求度は年を追って厳しくなっています。


そして、IPOしようとする場合、遅くとも上場申請を行う決算期(申請期)の2期前(直前々期/N-2期)から、上場企業たるにふさわしいコーポレートガバナンス体制などの整備・運用を開始しなければなりません。

ただ、直前々期になっていきなりコーポレートガバナンス体制などの整備を1から始めるとなると非常に大変ですから、アーリーやシリーズA段階の会社であっても、上場審査を見据えた体制を可能な限り整えておくべきでしょう


本記事では、IPOを目指す会社が日頃から意識すべきコーポレートガバナンスのうちでも重要な取締役会の開催について、解説します。



2.IPOを見据えた場合、少なくとも1か月に1回は取締役会を開きましょう。


2-1.IPOを考えていなくても、3か月に1回は開催が必要


会社法には「取締役会を年に○回開かなければならない」といった規定はありません。


しかし、代表取締役などは、自己の業務執行の状況の報告、例えば「A社との業務委託契約締結に向けての協議は現在このような状況にある」といったことを、3か月に一度は取締役会に報告しなければなりません。


そのこととの関係で、結果的に、会社法上は3か月に一度の開催が必要となります。



2-2.上場審査との関係では、少なくとも1か月に1回は開催するようにしておく必要がある


しかし、IPOを目指す場合、「3か月に1回開けば問題ない」と考えてはいけません

上場企業では毎月(しかも月の中旬以前)の開催が必要とされ、そのこととの関係で、上場審査においても、毎月取締役会が開催される体制が整っているかが見られることになります。

上場審査においては一定の運用期間を設けて審査が行われるので、遅くとも直前々期には、1か月に1回の開催が行われるように体制を整え(例えば、「定例会」として、毎月第2金曜日に開催する)、そこで、月次決算の報告・審議や、その他取締役間で共有しておくべき事項の報告などを行うようにしましょう。


なお、報告事項が生じたものの定例会の予定日まで間がある場合には、定例会の開催を待つのではなく、臨時に取締役会を開催し、迅速に報告すべきです。



3.重要な経営判断は取締役会で決定しましょう。


ここまでは取締役会を業務執行に関する報告の場とすることを主眼として解説してきましたが、取締役会には、重要な経営判断を行うという役割もあります。


大きな設備投資をすることやそのために多額の融資を受けること、支店を開設したり支店長を配置するなどの重要な経営判断について、取締役会設置会社においては代表取締役の一存とすることは認められておらず、取締役会の承認決議を得る必要があります。


この場合、当然ながら取締役会を開催する必要があります。

月に1度の定例会で承認決議をしてもよいですが、迅速に処理する必要がある場合には臨時取締役会を開催しましょう。



4.取締役会を開催したら、議事録を作成する必要があります。


取締役会を開催していなかったとしても、証券取引所やM&Aの相手方には開催したと言い張ればよいのでは?と思われた方もいるかも知れません。


しかし、取締役会を開催した場合、議事録を作成し、一定期間保存しなければならないため、この議事録がなければ取締役会を開催していないことが発覚してしまいます。


また、仮に取締役会を開催していたとしても、議事録を作成していなければ、開催していないと判断されてもやむを得ないことになります。


取締役会を開催していない(開催したことを証明できない)場合,

  • 株主から、会社法上の責任を追及される可能性があります。

  • 上場審査にマイナスに働いたり、相手方が支払うM&Aの対価が減額されるなどのデメリットが生じるおそれがあります。


ですから、必要に応じて取締役会を開催し、議事録を作成しておく必要があるわけです。  



5.まとめ



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