IPOを狙う企業でも取締役会の開催を省略することは可能か?

最終更新: 3月22日


この記事のポイント
・ 取締役会の開催を省略できる場合がある 

IPOを見据えている場合、1か月に1回は取締役会を開催する体制を整えておく必要があります。また、取締役会への報告事項が生じたり、重要な経営判断が必要になったりした場合、臨時に取締役会を開催すべきことになります。

(詳細はこちらに記載していますので、興味がおありな方はリンク先をご覧ください。)


とはいえ、成長を期待されるスタートアップにおいては機動的かつ柔軟な会社運営が一層求められるのも事実。

取締役会への報告事項が生じたり、重要な経営判断を行うたびに取締役会を開催するといった、固定化された会社運営をしている余裕がない企業も少なくありません


実は、取締役会への報告事項があったり、重要な経営判断を行う場合、必ず取締役会を開催しなければならないわけではありません

書面や電子メールを活用することにより、取締役会の開催を省略する方法があります


取締役会の開催を省略できる場合がある

取締役会に報告しなければならないことがある場合

取締役は、例えば重要な取引先が破産したことを知った場合のように、会社に著しい損害を与えるおそれのある事実を発見した場合、取締役会(監査役設置会社では監査役)に報告しなければなりません。

このように、取締役会に報告しなければならないことがある場合、そのための取締役会を開催することになります。


しかし、取締役の全員に対して報告しなければならないことを通知すれば、取締役会を開催してそこで報告する必要はありません


ただし、代表取締役などによる、自己の職務の執行の状況の報告はこの通知で代えることができないため、(IPOを視野に入れていなくても)3か月に1回は取締役会を開催する必要があります。



重要な経営判断をする場合


取締役会設置会社において、重要な経営判断を代表取締役の独断で決することはできず、取締役会の承認決議を得る必要があります


しかし、例えば代表取締役が「例の甲土地を3000万円で購入する件について、同意される方はその旨返信してください。全員から同意があった場合は取締役会の開催を省略します。」と記載された電子メールを他の取締役全員に宛てて発し、他の取締役全員が電子メールでこれに賛成したような場合、取締役会の開催を省略できる可能性があります。


すなわち、ある取締役の提案に他の取締役全員が書面か電磁的記録(例:電子メール)で同意すれば、実際に取締役会を開く必要はありません

ただし、定款でこのルールを採用する旨を定めておく必要があります。また、監査役設置会社では、監査役が提案に異議を述べないことも必要です。


とはいえ、IPOを見据えた場合には・・・

このように取締役会の開催を省略するための制度が会社法上、用意されています。

しかし、IPOを見据えた場合、1か月に1回は取締役会(定例会)を開くべきという点に変わりはありません。


IPOしようと考えているのであれば、定例会に代えて取締役全員への通知を行うようなことはすべきではなく、上記の2つの制度は、あくまで臨時取締役会を開く手間を省くためのものと位置づけるべきでしょう。


取締役会の開催を省略した場合でも、取締役会議事録の作成は必要です。

取締役会の開催を省略した場合でも、一定の事項を記載した取締役会議事録の作成が必要ですので、その点には注意が必要です。

取締役会を開催していないのに議事録は作成しなければならないことに違和感を覚える方は、「取締役会議事録」という名称の報告書を作成しなければならない、と考えておけばよいでしょう。


まとめ
  • 定例会はしっかりと開催する。

  • 取締役会に報告すべき事項が臨時に生じた場合、取締役全員に対して通知すれば取締役会を開かなくともよい。

  • 重要な経営判断を臨時に行う必要が生じた場合、提案者以外の取締役全員が書面などで同意すれば、取締役会を開いて承認決議を得る必要はない。

  • 取締役会の開催を省略した場合でも、取締役会議事録の作成は必要である。

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